MFTが必要な症例とは?

お子様の歯並びや噛み合わせが気になる保護者の方から、
「MFT(口腔筋機能療法)が必要と言われたけれど、どのような場合に必要なの?」
というご質問をいただくことが増えています。

MFTとは、舌や唇、頬などの口の周りの筋肉を正しく使えるようにするトレーニングのことです。
実は、歯並びの問題の多くは、これらの筋肉の不適切な使い方が原因となっていることが少なくありません。

さらに最近の研究では、歯並びと姿勢、そして呼吸には密接な関連性があることが明らかになっています。
猫背や頭の位置の異常、口呼吸などが歯並びに悪影響を与え、逆に歯並びの問題が姿勢や呼吸機能に影響することもあるのです。

今回は、どのような症例でMFTが必要になるのか、姿勢や呼吸との関連性も含めて具体的にご紹介いたします。

MFTとは何か?【MFTの目的と効果】

MFT(Myofunctional Therapy:口腔筋機能療法)は、口の周りの筋肉や舌の動きを正常化するための訓練法です。
単に歯を動かすだけでなく、歯並びが悪くなる根本的な原因である筋肉の機能を改善することを目的としています。

正しい舌の位置や唇の閉じ方、飲み込み方を身につけることで、歯に不適切な力がかからないようにし、きれいな歯並びを維持できる口腔環境を作り上げます。
また、口呼吸から鼻呼吸への改善により、全身の健康状態の向上も期待できます。

MFTが注目される理由

近年、MFTが注目を集めている理由は、従来の矯正治療だけでは根本的な解決にならないケースが多いことが明らかになってきたからです。
歯並びを機械的に整えても、筋肉の使い方が改善されなければ、治療後に後戻りしてしまう可能性が高くなります。MFTを併用することで、より安定した治療結果を得ることができ、長期的な口腔の健康維持につながるのです。

歯並び・姿勢・呼吸の密接な関連性

【姿勢が歯並びに与える影響】

現代の子どもたちに増えている猫背や頭部が前方に出た姿勢(いわゆるストレートネック)は、実は歯並びに大きな影響を与えています。
頭が前に出た姿勢では、重力により下顎が後方に引っ張られ、口が開きやすくなります。

【不良姿勢による口腔への影響】

  • 舌の位置が下がる(低位舌)
  • 口呼吸になりやすい
  • 下顎の成長が阻害される
  • 歯列が狭くなる
  • 噛む力が弱くなる

姿勢の改善なしに歯並びだけを治療しても、根本的な解決には至りません。
MFTでは、正しい頭位や首の位置も含めた総合的なアプローチを行います。

口呼吸は単なる呼吸方法の問題ではなく、歯並びや顔の成長に深刻な影響を与える重要な問題です。
口呼吸により舌の位置が下がると、上顎の成長が阻害され、歯列が狭くなります。
すると鼻腔も狭くなり、さらに口呼吸が悪化するという悪循環が生まれます。

【口呼吸による連鎖反応】

  • 鼻づまりや鼻炎により口呼吸が始まる
  • 舌の位置が下がり、口腔筋機能が低下
  • 上顎の成長不足により歯列が狭くなる
  • 鼻腔も狭くなり、鼻呼吸がさらに困難に
  • 口呼吸が慢性化し、歯並びがさらに悪化

この悪循環を断ち切るためには、MFTによる筋機能の改善と、必要に応じた耳鼻科との連携治療が重要です。

【全身のバランスと口腔機能】

口腔機能は全身のバランスと密接に関連しています。
足の裏から頭頂部まで、人間の体は一つの連鎖として機能しており、どこか一箇所の問題が全体に影響を与えます。

足のバランスが悪いと骨盤が傾き、それが背骨の歪みを生み、最終的に頭部の位置や下顎の位置にまで影響します。
このため、MFTでは口腔機能だけでなく、全身の姿勢バランスも考慮したアプローチが必要となります。

MFTが必要な主な症例

【舌癖がある場合】

最も多いMFTの適応症例が舌癖です。
舌癖とは、無意識のうちに舌を前歯に押し付けたり、上下の歯の間に舌を出したりする癖のことです。

(具体的な症状)

  • 話すときに舌が見える
  • 飲み込むときに舌を前に出す
  • 安静時に舌が下の前歯に触れている
  • 上下の前歯の間に隙間がある(開咬)

この症例では、正しい舌の位置と動きを覚えるMFTが不可欠です。

【口呼吸の習慣がある場合】

口呼吸は歯並びだけでなく、全身の健康にも悪影響を与える重要な問題です。
口呼吸が続くと、常に口が開いている状態になり、舌の位置が下がってしまいます。

  • 口呼吸による影響
  • 上顎の成長不足
  • 歯列の狭窄
  • 出っ歯や受け口の原因
  • 虫歯や歯周病のリスク増加
  • いびきや睡眠時無呼吸症候群
  • 集中力の低下
  • アレルギー症状の悪化

MFTでは、鼻呼吸を促進するためのトレーニングと、正しい唇の閉じ方を練習します。

【姿勢の問題が関連する場合】

近年増加している症例として、姿勢の問題が関連するケースがあります。
長時間のスマートフォンやゲーム使用により、子どもたちの姿勢が悪化し、それが口腔機能に影響を与えています。

  • 姿勢関連の症状
  • 猫背や頭部前方位姿勢
  • 慢性的な口の開放状態
  • 舌の筋力低下
  • 飲み込み機能の低下
  • 発音の不明瞭さ

このような症例では、MFTに加えて姿勢指導や全身のバランス改善も必要となります。

【総合的アプローチの内容】

  • 正しい姿勢の指導(頭位、首の位置、肩の位置)
  • 呼吸法の訓練(腹式呼吸、鼻呼吸の促進)
  • 舌や口腔周囲筋のトレーニング
  • 全身の筋バランス改善のための運動指導
  • 日常生活習慣の見直し

このような包括的なアプローチにより、単に歯並びを改善するだけでなく、子どもの健康全体の向上を目指します。姿勢が改善されることで呼吸機能が向上し、それが口腔機能の改善にもつながる好循環を作り出すことができます。

まとめ

MFTが必要な症例は多岐にわたりますが、共通しているのは口腔周囲筋の不適切な機能が歯並びや噛み合わせに悪影響を与えているということです。舌癖、口呼吸、姿勢の問題などがある場合、単純な矯正治療だけでは根本的な解決にならず、MFTによる筋機能の改善が不可欠となります。特に現代では、デジタルデバイスの普及により姿勢の問題が深刻化しており、それが口腔機能にも大きな影響を与えています。歯並び・姿勢・呼吸は密接に関連しているため、これらを総合的に改善するアプローチが重要です。

早期の診断と適切な治療により、健康で美しい歯並びと正しい姿勢、良好な呼吸機能を一生涯維持する可能性が高まります。

名東区一社近辺にお住まいでお子様の口の癖や歯並び、姿勢や呼吸の問題が気になる方は、アベ歯科クリニックまでご相談ください。お子様の健康全体を考慮した最適なMFTプランをご提案いたします。

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